現役高校教員の皮算用です。教員歴は20年に満たないですが、過去に学校長の天下りを見かけること4例ありました。
日本語として正しいのは再就職という表現ですが、実態は天下りだと感じているので本記事では天下りと表現します。
校長の天下り
学校長まで出世街道を上り詰めると、定年後に天下りオファーがあります。
国立や公立学校からでも、私立学校からでも天下れます。
私立学校は民間企業とそう変わらない扱い(法人)なので、「天下り」という表現はそぐわないと思います。
一般的に、私立学校での天下りは同じ系列の学校への再就職となります。A大学→A大学附属高校→・・・。
校長の天下り先・ポジション
国立や公立学校の高等学校長(高校の校長)ならば、天下り先は私立学校です。特に私立通信制高校への天下りが多かったです。
中学校長ならばせいぜい私立中学校への天下りでしょうし、小学校長ならば私立小学校への天下りです。学校数からみても、私立中学校・私立小学校・私立幼稚園等は少ないので、中学校・小学校の校長の天下りは難しいです。
過去に天下り遭遇した校長は全て高等学校長でした。10数年間の勤務で4/5例しかありませんが。
天下りした先でのポジションは校長や副校長・広報など様々でした。
- 2002年私立系列校→私立系列高校
- 2008年公立高校校長→天下り
- 2010年公立高校校長→天下り
- 2017年公立高校校長→天下り
2002年の方は天下り先の私立高校に学校長として赴任して来ました。定年までは系列校(大学?)在籍だったと思います。私立学校としては天下りはよくあることだと思います。
私立中高の上層部役員には「相談役」や「校長補佐」「理事補佐」など仕事内容不明の謎ポジションがある学校がある。
そのようなポジションでやってくる方々は、校長や理事の知人である事が多いので天下り先に使われているんだろうなぁ。— なごぱん (@namakemonopann1) December 28, 2021
2008年~2017年の3名の自治体名は私の勤務自治体でもあるので個人情報の観点からお答え出来ませんが、大都市を有する自治体でした。彼ら3名は私立通信制高校の校長・副校長・広報として迎えられているのでそもそもそれら私立高校が近隣にない地方都市だと天下り先が存在しません。田舎は無理よ。
ぶっちゃけ、1~2年の在籍です。長いこと在籍させてはくれません。
どんどん退職してくるのだから天下りポスト空ける為にも早く追い出さないと。
校長が天下りするためには実績が必要
過去に天下りしていった校長は4人見ました。
4/5人が天下りを行いました。天下りしなかった1人は定年よりも前に一緒に働いただけだったので、定年時に天下りしたのかは定かではありません。
定年を迎えた校長は100%天下りしています。実例としては4/4ですが。
校長の実績
- 新しく理数学科を作り大学の合格実績を飛躍させた
- 荒れてる学校を立て直した
だいたいこんなところが天下り先から評価されます。
そのため、校長は学校運営をがんばります。
特に定年前2年間はラストスパートかけます。
副校長や教頭は天下りできる?
副校長や教頭の身分のままでは天下りできません。
手柄は全部上司(校長)が持っていくので副校長や教頭の名前は知られていません。オファーは来ません。
そのため副校長や教頭は校長を目指して出世街道を走ります。
私が勤務した自治体の高校現場では「玉(ギョク)を守り抜く」と揶揄されていました。玉とは校長のことです。玉を守り抜くと、玉が抜けた後(定年退職した後)にくり上がって玉になれるからです。
副校長や教頭は「玉が定年退職まで傷が付かない」ように守っています。
※『玉が抜けた後にくり上がる』との表記ですが、もちろん人事異動があるので同じ勤務校の校長席に座れるとは限りません。『校長の経歴に傷を付けずに無事、無傷で定年退職させる=教育委員会も無傷』であればNo.2である副校長・教頭も教育委員会の覚えが良いので出世に有利です。記者会見レベルに何かあったら出世無理でしょ
近年は管理職試験もきっちりしているので「まぁ昔は・・・」と思っていただけると幸いです。古い話ですが昭和の時代なんかは官民ともに縁故採用だらけだったわけで・・・。
沖縄県も校長の推薦がないとダメだった気がする。
教育委員会に行くのも推薦が必要なのかな? https://t.co/4i6h5EFr4l— ますを@山下幸二 (@masuwo1980) March 21, 2022
一般の先生は天下りできる?
ごくごく普通の先生は天下りできません。先ほどの副校長・教頭と同じで名前は知られていませんので、オファーが来ません。
有名人である場合はオファーが来ますが、校長ほどの好条件ではありません。
- 教科指導の有名人
- クラブ活動指導の有名人
- 生徒指導の有名人
だいたいこんなところにニーズがあります。
教科指導の達人
教育研究会などで頻繁に発表を行ったり、書籍の出版を行っているレベルの有名人にはオファーがあります。役職は様々ですが、同じ学校の他講師よりも特別好待遇での、常勤講師や非常勤講師が一般的です。
非常勤講師だけど他の人より時給がちょっと高いとか、常勤講師だけどコマ数少なめで給料皆と同じとか・・・。
そこまで有名人では無い場合でも、教科指導力があり、かつ免許持ちが少ない科目(特に英・数)の場合は定年後のオファーがあります。
ただ、この場合のオファーは非常勤講師としての雇用となるので、天下りと呼ぶには待遇が普通過ぎます。
定年退職後に再雇用されることが無かった時代に、出版や講演も行っていた同僚で1人、定年退職→私立高校非常勤講師となりましたが特別高待遇という訳ではなかったようです。
今どきは定年退職→再任用・常勤講師・非常勤講師と働き続けることが普通なので『教科指導の達人』でなくとも定年後の雇用はあります。
クラブ活動指導の達人
「イチから部活を作り上げ、選手を全国大会に導いた」こんな人物は私立学校からニーズがあります。
学校名を売るには、スポーツ強豪校とするのが最も手っ取り早いからです。
在職中にオファーがあり私立高校に転職して行った40代同僚が1人いました。部活大好き教員でした。公立よりも部活重視で活動でき、部活予算も潤沢だったので公務員を辞めていかれました。
スポーツ強豪校として名前が売れてきたら次に狙うのは【進学校】という肩書きです。特進コースなどを作り生徒募集を行います。
生徒指導の達人
教育研究会などで生徒指導関連の発表を行い、かつ荒れた学校を立て直した人物といった実績がある場合は、荒れた私立学校からオファーがあります。
ただ、定年退職した後まで荒れた学校で生徒指導したいかどうかは本人のみぞ知るところです。
公務員の天下りのメリット
公務員時代よりも高い給料で数年間働けます。数年間働いた後に退職金を再度もらい、退職します(数年間働いた退職金額は各天下り先により異なります)。
天下り先のメリット
特に国立・公立高等学校長による私立単位制高校や私立通信制高校への天下りが多いです。
国立・公立高校を辞める生徒に単位制高校や通信制高校への入学を促すために校長を再就職させています。
転校を望む生徒に新しい学校を提示する際に候補にあがりやすくするためにです。
学校変わりたい!
そうか・・・残念だな。
転校先は・・・。
そうだ!〇校長がいる単位制のA高校はどうだろう?
縁もゆかりも無いB高校よりも見知った人がいるA高校の方が心象良く面接受けられるので『ツテがある』方がお互いにwin-winなのです。
公務員の天下りは減っている?
公務員の天下りが問題視されるようになったので後年は少し日数を開けて再就職していました(校長職は)。
学校勤務の場合は、60歳の誕生日を過ぎた3月31日が定年退職日です。教員も事務員も用務員も3月31日となっています(定年が60歳の場合)。
2010年頃では、3月31日に定年退職した校長は4月2日頃から天下り先で勤務していましたが、2017年では4月半ば位での初出勤だったようです(広報職での再就職)。2017年は事務長も私立大学からオファーがあったようですがそちらは4月頭が初出勤だったようです。
4月からは通信制の私立〇高校で広報担当します。
定年退職後も再度雇用されることが当たり前になりつつあるので最早この状態を天下りとは呼ばなくなっているのかもしれません。
国家公務員の天下り
国家公務員法では退職後2年間は関連する民間企業への再就職を禁止していますが例外となる民間企業もあります。
公立学校の先生は地方公務員なので国家公務員法は適用されません。
コメント
玉を守り抜くなんて言葉、聞いたことがありません。どんな学校現場に勤務しているのでしょうか?
そもそも校長が退職しても副校長がその椅子に座ることはありえないのですよ。
その学校で昇任するのではなく、必ず異動が伴いますので。
コメントありがとうございます。
どんな学校現場と言われると・・・『至って普通の学校現場』としか答えられないですね。進学校でなく、荒れてもなく、偏差値50ジャストで可もなく不可もなくな高校でした。部活強豪校だったので語彙がこんな感じでした。ご不快に感じましたら申し訳なかったです。当時のまま記載しました。
副校長・教頭のくり上がるの件は言葉足らずだったので追記しておきました。ご助言ありがとうございました。
また宜しければ当ブログにおこしください。記事内容は資産運用メインなので学校ネタは1/3くらいですが・・・。