セミリタイアして趣味で先生をしている皮算用です。
最近は教員による体罰はめっきり減りましたが、生徒→教員への暴言・暴力が増えている様子です。
主に中学校でですけれど。
教師って訴えられるの?
学校の先生に限らず公務員や会社員についてもですが、普通は所属する団体を訴えます。
ただ、明らかに責任の所在が1個人にある場合は、団体を飛び越えて個人に請求が来ます。
普通の公務員だとそれほど一般市民と濃厚に接触しません。しかし、学校の先生は生徒と濃密で長い時間を過ごすので、トラブルは発生しやすいです。
教諭時代。
同僚が訴えられました。
原因は生徒のてんかん発作を見逃して半身不随にしてしまったことそれ以来、私は裁判を意識して仕事してます
「学校としてどれだけ徹底してやったか」
これが大事。空振りok。何かあった時に説明できて自分を守ってくれます。
消毒などは無意味ではない。
— Meg@つんでれ。 (@MegJoytoy) July 11, 2020
学校の先生に求められるものは学習指導力・カウンセリング能力が主ですが、救護の知識も必要です。
(教員採用試験ではチェックされませんし、日々の研修でもせいぜいAED操作と人工呼吸ぐらいですが)
保健の先生や救命士に引き継ぐまでの間の第一救護がマズイと先生自身がマズイことになります。
知らなかった。
「処置を知らなかった」が裁判でどこまで考慮されるか分かりませんが、世論や保護者の目は厳しいと思います。
プールの水道代請求はままある
プールの水の出しっぱなしで数百万円の請求がイチ教員にやってくることもあります。
- 校長
- 教頭
- 水栓を任された教員
この3名で水道代を折半して支払うのが通例のようです。
水道料金約438万円を該当校の男性校長、男性教頭、ミスをした20代の男性教諭の3人が弁済したと発表した。
市教委保健体育課によると、市教委は弁護士と相談したり、他の自治体で発生した同種のケースへの対応などを調べたりして弁済方法を検討していたが、3人が自費で弁済したいと昨年12月に市教委に申し出たため、意向を尊重したという。負担割合は3分の1ずつで、今月19日に弁済が完了。市教委は3人を厳重注意とした。
高知市の小学校でプールの水を1週間止め忘れ余分に水道料金がかかったことから、高知市は止め忘れた過失は大きいとして教員など3人に対し130万円余りの支払いを求めることを決めました。
教職員共済では賠償責任保険の扱いもあります。プール水道代も補償されそうな気がします。月900円の保険料で加入できます。
「業務上必要であろう保険に個人で加入するの?」とは思いますが民間だと個人に賠償させないかわりにクビでしょうから加入しておくのが正解だと思います。
正直な所、プールの水道止め忘れはよく発生している事例だと思います。2016年の千葉県や2021年の高知県の『ミスの補填は自腹』がまかり通ってくると今後は先生個人への請求が当たり前な時代になるかもしれません。
桜宮高校の事件では訴訟となった
2012年に大阪市桜宮高校バスケ部体罰自殺事件がありました。
当時の顧問による生徒への体罰により、生徒が自殺するという事件でした。
当然顧問は懲戒免職(クビ)となりました。
以下、元顧問と表記します。
もちろん、遺族は元顧問の所属する大阪市相手に裁判をおこすのですが、この元顧問も刑事裁判を受けました。
暴行と傷害
元顧問は暴行と傷害で懲役1年執行猶予3年の有罪判決を受けています。
【2013年9月26日大阪地裁】
元顧問に4,361万円の支払い判決
遺族が大阪市相手に損害賠償請求を行い、7,500万円の賠償を命じる判決がでました。
【2016年2月24日東京地裁】
元顧問へは、7,500万円の賠償金の内おおよそ半分の4,361万円の支払いを命じる判決がでました。
【2018年2月16日大阪地裁】
教師から生徒への体罰は減った
体罰は【暴行・傷害】という認識ができたので、学校現場では教員による体罰は2013年以降はめっきり見ていません。
(それ以前はよくありました)。
変わって、中学生による校内暴力が起こっていると聞いています。先生方は自分の身を守ってください。
特に女性教員は気をつけてください。中学生では時々加減を知らない生徒もいますので。
妊娠中の女性教員に対する生徒の暴言
「その腹蹴ったらどうなる?」
中学2年生の男子生徒が妊娠中の女性教員に放った暴言です。
相手教員は非常勤講師でした。
暴言現場も階段踊り場辺りで他に証人もおらず、生徒には担任の先生による【注意】指導が行われました(いわゆるお説教)。
高校ならば停学等ペナルティが与えられますが2010年の中学校にはペナルティがありませんでした。
教師による暴言はまだまだ多いので訴訟リスクはある
教員による体罰はめっきり見なくなりましたが、暴言はまだ見かけます。
それ、人権侵害や名誉毀損にならないかい?
なんて発言も時折耳にします。
今後はそれらに対しても、厳しく取り締まっていくことと思われます。
ちなみに、暴言は教員→生徒だけでなく教員→教員でもままあります。
21世紀を生きるヒトならば、ボイスレコーダーの類いを1つは持っておくことを勧めておきます。
きっと自分自身の尊厳を守ることに寄与します。
教員人生10数年で「録音しておけば!」な場面はいくつかありました。
『個室で話し合い(証人が少ない)』の場合は常時録音・録画しておくのが吉です。
声だけの録音だと『誰の発言か』の立証が難しいので録画の方が良いです。
責任の所在がいち教師にあり訴訟リスクのあるもの
暴行・傷害・セクハラ・パワハラ・人権侵害・名誉毀損など数え上げればきりが無いですが、これらに気をつけてください。
普通にしていれば、それらに接触することは無いと思われます。しかし、大人として不完全な生徒相手のことですから、教員サイドが熱くなりすぎると、これらに接触する可能性があります。
21世紀の教育現場でのタブーを知っておくことが先生方、ひいては生徒の心身の安全を守ることと思います。
各種時効について
発生からカウントするそうです。
日本国外にいると【時効の停止(カウントストップ)】が発生します。
- 障害致死:20年
- 傷害:10年
- 暴行:3年
- 名誉毀損:3年
- 侮辱:1年
願わくば
先生方が教員を志した当時に思い描いたような生徒との関係が、何年何十年経っても築け続けますように。
そして桜宮高校のような事件が2度と起こることがないことを願っています。
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