現役高校教員の皮算用です。
30代でセミリタイアしましたが、趣味で教員をしています。
数学科教員ですので、高校時代は理系で数学Ⅲまで勉強しましたし、大学も理学部数学科を卒業しています。
高校の理系選択者に求められる数学レベル
問題をパッと見たときにタイムラグ無く式をかいて解いているレベルじゃないと、大学入試を考えると厳しいです。
計算できて当たり前なので、計算ミスなんてものはあり得ません。
立式・計算できて当たり前なので、授業ではこの2点を重点的に説明します。
- かくべき用語
- なぜこの立式にしたか(解説には載っていないが別アプローチもある)
解説を見て意味が分からないようでは、理系で大学進学するのは難しいと思います。
数学Ⅲを選ぶなら本気でよく考えて!
数学Ⅲについては、数学の先生は口を揃えて言います。
エゲツナイ。
過去に習った数学ⅠAⅡBの4つが束になったよりも全然余裕で数学Ⅲの方が難しいです。
重箱のすみをつつく感じです。
「そこまで聞く?」的な。
だいたい数学Ⅲを選択した生徒の半数が脱落します。実際に大学入試で数学Ⅲを受験科目として利用するのは授業を受けている生徒の50%です。
- 夏休み前
- 夏休み明け
- 11月頃
- 入試直前
どんどん脱落していきます。
ぶっちゃけ脱落するなら夏休み前がいいです。ひと夏数学に明け暮れてから「・・・自分に数学は無理だわ」とするには代償がデカすぎます。
私の大学の先輩で経済学部の方がいました。
センター試験(大学入試共通問題)を受けたその日に文転したそうです。
それまで理系として、理科・数学ⅠAⅡBⅢCに取り組んできましたが、理系として受験すると現役合格がほぼ不可能だと判断したそうです。
結果、国立大学の経済学部に現役合格しました。
数学Ⅲの標準単位数が5単位なので、週に5時間は数学Ⅲの授業があります。
高校3年の受験期に。
受験で使わない科目の授業を受けるのはなかなかの苦痛(受験への焦りも含めて)です。
更に、毎週5時間授業受けてもさっぱり分からない教科に興味も無く、かと言って勉強しないと卒業できないかもしれないというジレンマが起きます。
数学教える側ですのでそんな生徒は見たくないです。
数学Ⅲの選択ミスると200時間のムダ
取り組んだ時間はムダじゃない。
こんな意見はもちろんありますが、結果の出ない努力を賞賛するのは小中高校までです。
相変わらず(保護者の)理系進学希望が多いです。
ただ、数学Ⅲという特殊な教科を受験科目で必要とする大学もそう多くないです。必要なのは工学部・理工学部辺りです。
国立大学薬学部の入試科目に数学Ⅲがあるんです。
なんてよく生徒から聞きますが、たいがいの生徒は国立大学薬学部に現役合格はできません。
偏差値65超えの高校の上位20番以内ならば、国立大学薬学部現役合格可能かもしれませんが。
たいていは私立大学薬学部(卒業までに2,000万円かかるらしい)や看護学科に落ち着きます。
数学Ⅲ要らないのよ。
これ、最初からキチンと考えて週に5時間を【数学ⅠAⅡBの復習科目(学校独自の数学演習科目)】にあてていれば、私立大学薬学部や看護の学校のランクを1つ上げられる位の学力がつきます。何なら学費免除の特待生とかも狙えるんじゃないかと思います。
4月~1月までの10ヶ月×4週間×5時間=200時間
学校での授業時間だけでもこれだけとられます。家庭学習の時間も含めるととんでもない時間をかけて数学Ⅲを勉強します。
これだけの時間をかけても、数学Ⅲを選択した生徒の半数が脱落します。
数学Ⅲは概念なので、もはや紙とペンでは無理かも
グラフをかいて回転させて、その体積を求めたりします。
グラフかくまでは平面なので、黒板・ノート上で見せることができますが、「これをx軸に対して1回転させると・・・」の時点で想像の世界に突入します。
美術的に「だいたいこんな形」とは図示してくれるとは思いますが。
とにかく数学Ⅲはヤバいです。笑
進級卒業規定は高校ごとで異なる
- 評定1を取ったらダメ
- 履修不認定があったらダメ
情報開示されているので進級規定も卒業規定も教えてくれます。学校ホームページにまで載せてはいないと思います。
評定1がダメは、『〇個まではセーフ』という高校もありますし『1個でも留年』という高校もあります。
履修不認定は履修が認められないということです。いわゆる出席不足。『1個でも履修不認定があれば留年』としている高校がほとんどだと思います。
数学Ⅲはもう無理だ。
授業受けてる時間も無駄だしもったいない。授業出たくない。評定は2~3だろうしむしろ評定平均値下げてる。
履修(授業選択)してしまうと責任が発生します。自分自身で選択した結果ですが数学Ⅲの授業で週5時間拘束されるのはキツイです。家庭学習の時間も0というわけでは無いでしょうし。
文系なら高3での数学選択は本気でよく考えて!!
数学苦手なのでがんばろうと思い、3年で数学を選択しました!
たまに志しの高い生徒がいます。
残念ですが、高校3年生での科目選択は受験科目かどうかだけで選択すべきです。
数学苦手な生徒が1年で入試の得点源とできるほど学力が伸びる可能性は低いです。
厳密には4~1月の10ヶ月程度です。
数学苦手で、それでも数学を選択するメリットがあるのはこの3つを全て満たした者だけです。
- 英語の偏差値60超している
- 国語の偏差値60超している
- 社会の偏差値60超している
きっと在籍している高校の先生はここまで言わないだろうと思うので代わりに言います。
放物線の定義域の場合分け(数学Ⅰ内容)も分からないレベルで高校3年の選択科目で数学を選んだら、入試で受験科目として使えるレベルまでは到達しないし、評定平均値も伸ばせず受験に不利です!
選択科目の数学は週に2~4時間あるはずです。
4~1月までの10ヶ月×4週間×2~4時間=80~160時間
これだけの時間をムダにします。
本気で考えるってこういうこと
数学苦手なのでがんばろうと思い、3年で数学を選択しました!
志しが高い場合、元々の数学の学力によってはこれだけの時間がかかることを覚悟してください。
私は高校教員を10数年勤めています。
小学校4年生の分数や少数辺りでつまずいている高校生をたくさん見てきました。
食塩水や速度モノができない高校生は多いです。
中学2年生の1次関数(直線)でつまづいている生徒は偏差値50程度の高校生の半分が該当します。
- 苦手を克服したい!
本気でそう考えるならば、何年かかってもがんばるべきです。早く始めると、早くマスターできます。
その覚悟があるならば高校3年生で数学を選択してください。
ちなみに勉強時間の短縮には動画での学習がオススメです。
- 分かる所はとばせる
- 分からない所は繰り返せる
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