現役高校教員の皮算用です。セミリタイアしましたが、趣味で先生を続けています。
高校の種類は全日制・単位制・定時制・通信制の4種類あります。もう21世紀ですので、昔ながらの全日制高校なんて辞めて単位制が増えれば良いのにと思っています。
ちなみに、高校卒業に必要な単位数は各高校で異なりますが、ざっくりとこんな感じです。
- 全日制高校:100単位程度
- 単位制高校:74単位
- 定時制高校:74単位
- 通信制高校:74単位
全日制高校以外の高校では、たいてい文部科学省が定める最低単位数の74単位です。
全日制高校のメリットとデメリット
普通の高校です。学校生活は中学校と大して変わりません。
各高校で校風・校則が異なるので、よく調べておかないと「スマホの所有禁止。例え休日の校外での使用でも見つけしだい解約」なんて学校もあります(過去に勤務)。
メリット
中学校と同じ様な学校生活がおくれます。
デメリット
高校なので、場合によっては原級留置(げんきゅうりゅうち)・留年や減単位進級(げんたんいしんきゅう)があります。基準は各学校で異なります。最近は基準を最初に伝えておく学校がほとんどだと思います。
原級留置・留年は進級できないことです。同じ学年をもう1年やります。もう1年やったから次は確実に進級できるかというと、本人の努力次第となります。高校1年を2回+高校2年を2回+高校3年を1回の合計5年で卒業していった生徒もいました。
減単位進級は単位(教科科目)をいくつか落として進級することをいいます。ここに全日制ならではのデメリットがあります。
苦手教科NO.1の数学では減単位進級がたまにあります。
数学Ⅰを落としました。
でも無事進級できたので、高校2年生になれました。2年生では数学Ⅱの授業があります。
!??
単位を落とすって、「単位を認める最低限レベルの学力に達していない」のよ!?
なのにⅠの続きの、より難しいⅡを学習するの?Ⅰが理解できてないのに??
Ⅰを落としたけどⅡは落とさなかった場合、成績に「数学Ⅰ未修得、数学Ⅱ修得」って記載されるの変じゃない?
単位制高校のメリットとデメリット
大学と同じような学校生活になります。学年・クラスという概念がありません。
卒業に必要な単位数を修得すれば卒業ができます。卒業に必要な単位数は各学校で異なります。
各高校で校風・校則が異なります。たいていは全日制高校よりも校則が緩いことが多いです。
メリット
【学年】というくくりがないので、原級留置・留年がありません。卒業に必要な単位数を修得すれば卒業ができます。
単位を落とした場合、次の年に同じ科目を履修(授業を受ける)することができます。
デメリット
【学年・クラス】という概念がないので、友人作りのきっかけを難しく感じる生徒もいます。
同じ授業を選択している生徒同士で仲良くなりますけどね!
大学と同じような学校生活ですので、1年目の時間割り決めで大いに悩むと思います。
- 必修科目を時間割りに入れる
- 空いている時間に好きな科目を入れる
この順番で時間割りを完成させます。
「好きな科目」に関しては興味・関心のおもむくままで良いのか、大学進学を見据えた科目を入れるのか悩みどころです。
大学進学するなら、入試科目を網羅しよう。勉強しておいて損はないよ!
もちろん最初に説明会がありますし、相談に行けば教えてもらえます。
定時制高校のメリットとデメリット
夜間高校とも言われます。昼間働いている人が、仕事終わりに高校に通うために夕方から開校されています。
たいていは全日制高校の校舎を使います。
そのため、全日制高校に通う生徒の下校時間が決められていることがほとんどです(全日制生徒と定時制生徒が顔を合わさない様に時間を分けている)。
授業形態は全日制高校と近いです。クラブ活動も定時制高校の生徒たちで活動できます。
メリット
夕方~21時くらいの時間での授業なので、昼間に予定がある人や夜型生活の人に向きます。
年齢層が幅広いので、友人関係の幅も広がると思います。
デメリット
1日の授業時間数が少ないので、3年間では卒業できません。4年以上かかります。
平成21年度から制度が変わりました。時間割次第で合計3年間で卒業できるようになりました。
年齢層が幅広いので、気後れするタイプの人には友人作りは難しく感じるかもしれません。年上(大人)の生徒が気づかって声をかけてくれると思いますが。
通信制高校のメリットとデメリット
単位制高校と同じく、卒業に必要な単位数を修得すれば卒業ができます。【学年・クラス】の概念がないのも同じです。卒業に必要な単位数は、たいていは文部科学省が定める最低単位数の74単位です。
通信制の名前の通り、基本的に通学しません。ただ、定期テストなどを受けにスクーリング(登校)が数回あります。
各高校で校風・校則が異なります。たいていは単位制高校よりも校則が緩いことが多いです。
公立の通信制高校はまずありません。そのため、私立高校となります。私立の通信制高校では学費が高額であることがほとんどです。
メリット
単位制と同じです。
普段は通学しなくて良いので通学にかかる時間と定期代が浮きます。
デメリット
- 学費
- 友人作り
- 自分で勉強を進める
私立通信制高校の場合は1単位の登録に1万円以上かかります。
登録したけれど、「学力不足で単位取れなかった!」なんて事態もあります。
高卒に必要な単位は74単位なので、私立通信制高校では入学金等も含めると3年間で80万円を超します。
【学年・クラス】という概念がないので(そもそも登校しないので)、友人作りはかなり難しいと思います。
また、基本的に在宅で勉強するので自分でキチンと学習を進めることができる人物でないと、学力が身につかないと思います。
普段は登校しないので、学校や先生との関係は希薄です。全日制高校の時のように【家庭訪問】といったことはまずありません。そもそも通信制高校なので、自宅近くの学校でないことも多いです。
うちの子も通信制高校に入って2年目。中学や高校1年では、なんであんなに我慢して部活顧問や先輩の言うこと聞いてたんだろう、クラスの子に合わせて疲れてたんだろうと言うまでになれた。初めは学校に行けないということに自己嫌悪でいっぱいだった。お腹空いたとご飯食べてくれるのが嬉しい。
— nyanyako (@nyamurock) June 15, 2020
単位制・定時制・通信制高校を卒業した場合の学歴のデメリット
就職時の履歴書の学歴欄には中卒から後ろの学歴を記入します。
- 〇年3月 〇中学校 卒業
- 〇年4月 〇〇高校 入学
- 〇年3月 〇〇高校 卒業
途中で転校したりするとこうなります。
- 〇年3月 〇中学校 卒業
- 〇年4月 〇〇高校 入学
- 〇年10月 〇〇高校 退学
- 〇年10月 △△高校 編入学
- 〇年3月 △△高校 卒業
転校=学校を変わる=元の学校を辞めるなので、履歴書の記入はこうなります。
履歴書だけ見ればどのような種類の高校を卒業したのかは分かりません。
- 全日制
- 単位制
- 定時制
- 通信制
履歴書のパッと見では、何制高校を卒業したかは分かりません。ただ、【通信制高校】に関しては学校名がワンダーだったりするので、
普通の高校じゃないな。
そう思われる可能性はあります。
また、【定時制高校】も生徒の年齢や卒業までにかかった年数から、
定時制高校卒業かな?
定時制高校卒業と見抜かれる可能性もあります。
そもそも学校名で検索すれば、全日制かどうか分かるので、就職時に生徒側が気にしても仕方のないことです。
就職での募集要項で「高卒」となっていれば、普通は全日制かどうかは不問であるはずです。
ただ、同じく「大卒」とあっても学歴フィルターがあり、一定ランク以下の大学お断りな企業があるのは事実なので、「高卒募集」でも全日制と差別される可能性はあります。
最終学歴を見られるので大学進学する
高卒で就職するなら、資格が取れる商業高校や工業高校などの実学系の高校が良いです。
または高卒公務員がオススメです。
全日制以外の学校は複数ありますが、私立通信制高校を選んだ家庭は比較的家計にゆとりがあるはずです。
私立通信制高校のほとんどは1単位の登録に1万円以上かかるからです。
高校生の学費に3年間で80万円払える家庭ならば、大学進学させた方が将来的な収入も高くなります。
大学の学費は4年間で250(国立)~500万円(私立)かかります。
通信制高校のデメリットの1つ「自分で勉強を進める」をキッチリやれば、通信制高校からでも難関大学に進学することが可能です。
過去に全日制高校を普通に卒業できた生徒で、大学入試に関係のない科目の勉強をしたくないと、高校2年生の冬に私立通信制高校に転校していった生徒がいます。
21世紀ですし、この選択は正しいと思います。
もっと生徒自身のためにフレキシブルに選択できるべきです。
ただ、在宅で勉強するので自分でキチンと学習を進めることができる人物でないと、学力が身につきません。
正直、受け身な授業を聞くだけならアプリで十分です。一時停止できますし、くり返し再生できますので。
大学入試に向けてお金をかけられる家庭ならば、アプリ+個別指導が良いです。
アプリ授業の方が自分のペースで、いつでも勉強できるから!
夜中0:00に授業見れるからね!
スタディサプリは有名予備校の人気講師の授業なので、授業が上手です。
欲を言えば友人作りのためにも、個別指導は家庭教師ではなく、個別指導塾が良いです。
通信制高校だと家に引きこもりがちなので、外に出る理由があるほうが良いですし、個別指導塾には同年代の生徒がいるからです。
21世紀の1大人としての考え・思い
みんな一緒に同じことを学習する全日制というシステムは、時代に合わないと感じています。
20世紀の終わり辺りから個性尊重が叫ばれているのに、学習に関しては個性は尊重されていません。
義務教育を終える15歳時点で自分の得意不得意が分かっているハズなので、以降は自分に向いている教科を伸ばせれば良いのにと思います。
学習面で各人の個性を伸ばせるのは単位制高校や通信制高校だと考えています。
単位制高校への移行は教員の人材確保および人件費の問題で、なかなか進んでいません。公立高校が20校あれば単位制高校が1校ある位です。
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