30代でセミリタイアして授業のみを担当する時間講師をしている皮算用です。
時給で働く講師の働き方と有給の取り方や待遇についてです。
もちろん、勤める自治体や私立学校によって働き方や有給取得に対する考え方は異なりますので、勤務先に確認するのが正解です。
時間講師・非常勤講師の働き方
2020年度から常勤講師や時給で働く講師は【会計年度任用職員】となりました。おそらく辞令には『年間○時間』と明記されているかと思います。
私の勤務自治体では『国が定める法定授業時間×契約単位数』が契約時間でした。
高校だと1単位35週なので1単位につき年間35時間の契約となります。
この契約時間を超えない範囲で実際に授業を行った時間に対して賃金が発生します。テスト作成や採点に関しては賃金が発生しないことがほとんどです。
無給で押し付けられている定期テストの採点を都合があったので断ったら、校長室に呼びつけれてこの場で契約を切るか反省文を書くかのどちらかだと言われた#フォロワーが体験した事が無さそうな体験
— 教師しんどい (@DDsk6tA5xfYUcMh) April 16, 2021
教育委員会が予算を組んでいるので契約時間をオーバーした分は支払われないでしょう。
さすがに働き方として、「賃金払わないけど仕事してね」はブラック労働なので、今後は是正されていくと思います。
- 労働分賃金が出る
- 賃金を出せないのでテストや成績処理関係は任せない
- 教員調整額のような手当てを付ける
今後はこれらになっていくと考えています。
予算の都合で人件費はこれ以上かけられないので、【2.賃金を出せないのでテストや成績処理関係は任せない】になっていくと思います。
これからは教諭(正規雇用)や常勤講師(1年契約のフルタイム勤務)の仕事がさらに増えます。
そう予想していましたが外れました。
以外と教職をホワイト労働にしてくれるのかしら??
2019年に宮城県仙台市で非常勤嘱託による未払いの残業代請求が起こりました。642人が請求し、200人以上は非常勤講師の先生だったそうです。
市教委は非常勤講師ら約240人に未払いがあり、金額を確定した上で支払いを進める。
2019年10月にも愛知県名古屋市の非常勤講師の先生約1,100人が未払いの残業代請求を起こしました。
非常勤講師は労働基準法適用だそうなので不当労働があった場合は労基署に行きましょう!!
もちろん証拠いりますよ!(勤務記録簿とか。サビ残記録もしっかりつけておこう!)
フルタイム教員と同じく4%のみなし残業代(教員調整額)を付けておけば教諭・常勤講師同様、非常勤講師・時間講師もこき使えるので今後は法律改正していくかもしれません(-_-;)
最初に確認しておくとサービス残業を減らせるかも
時給で働く講師の仕事はこんな感じです。
- 授業準備・教材研究
- 授業⇐契約上給料発生するのはここだけ
- テスト作成(3~5時間以上)
- 採点・成績付け(40人分で2時間以上)
これ、3.と4.については回避できる可能性が高いです。
他の先生が代わりにやることになるので、「仕事しないズルイ奴」みたいに思われるかもしれません。
最初に講師依頼があった時に「テスト作成や成績処理は賃金が発生しますか?給料が出ないならしたくない」と伝えておくと、普通は任されません。
給料出るならやるでしょ?
私は教員歴が長いので授業を担当する=成績も付けると考えていたので、採点・成績付け回避はしませんでした。
他校の時間で働く講師の先生は採点・成績付けを拒否したそうです(テスト作成は請け負ったそうですが)。
後ほど詳しく説明しますが、採点・成績付けは数時間分は賃金が発生するのでまだ許せるかと個人的には考えています。
「やりたくない」ばかりだと講師依頼がなくなる可能性もあるので、どこまで許せるかは妥協点が必要だと思います。
やらないこと
公務分掌(担任業務や進路指導部・生徒指導部など)の仕事はしません。そうじ監督やクラブ顧問等も行いません。
右も左も分からない若手には依頼がくる可能性もあります。「断れる」って知らないからです。
賃金でますか?
ハッキリ聞きましょう。
給料出るならやるでしょ?
夏休みなどの長期休暇は無給
実際に授業を行った場合に賃金が発生するので、授業のない夏休みなどは無給になります。
2018年の夏休みは40日間ありました。子ども時代に戻ったみたいでした。笑
せっかくの長期休暇なので、何かすべきだと思います。
- 教員採用試験に向けての勉強
- 留学
- 旅行
- バイト
教員採用試験を受け続けているならば、1年中勉強しているはずなので、夏くらい留学や旅行がオススメです。
正規の先生(教諭)になれば夏休みは多くて5日間程度です。ヘタしたら0日です。
副業OKな講師ならば、夏休み期間のバイトもできます。なんなら旅行+バイトなリゾートバイトなんてのもあります。
「リゾート地みたいなまぶしい場所に行きたくない。」
なんて場合は高単価と噂の治験バイトなんてのもあります。
完全無料の治験バイト探し学生時代ぶりの長期休暇を有意義に過ごして欲しいと思います。
時間講師・非常勤講師でクラブ顧問を頼まれたら必ず確認すること
普通は時給で働く講師にクラブ顧問は担当させません。
右も左も分からない若手には依頼がくる可能性もあります。「断れる」って知らないからです。
次年度の採用試験や講師契約の更新のためには管理職の覚えが良い方がいいので、クラブ顧問は引き受けても良いと思います。
無給だった場合は自己判断で天秤にかけてください。私なら賃金出ても顧問はやりません。
賃金でますか?
労災ありますよね?
労災関係の確認は必ずしましょう!
労災がなかったら、もしもの時は保障ゼロです。
さすがに生徒のケガや死亡に対しては学校が責任をとってくれると思いますが、先生のケガや後遺障害・死亡についての保障も確認しておきましょう。
普通は時給で働く講師(週の労働20時間未満)は社会保険に加入しないはずです。
厚生年金や私学共済ならば障害年金も手厚いですが、国民年金ならば障害年金は約半額です。
部活顧問の依頼が来たら厚生年金や私学共済加入を条件にしましょう。
時間講師や非常勤講師の賃金・給料など待遇について
- 授業に対して賃金が発生する
- 住宅手当等は付かない
- 健康診断は無料で受けられる
- 労働基準法が適用される
実労働に対して賃金が支払われるので後払いです。
教諭や常勤講師は月給で残業代は付かないので、当月前払いです。
例:4月分の給料は4月20日に支給
残業代は全員に基本給の4%が既に上乗せされています。【給特法】
時給で働く講師には4%上乗せされていません。
時給で働く
1時間いくらで雇われます。ただ、この1時間は授業時間なので、50分〇円です。
高校ならば時給2,500円は下らないので、50分で2,500円です。都市部ならば50分3,000円なんてところもあります。
幼小中高、校種による賃金差がなくなりつつあるようですが小学校時間講師に時給で負けた時は悔しかったです(T^T)
ちなみに、授業が40分の日も2,500円もらえます。授業時間が「今日は60分授業」なんてなることはありません。
学校によっては1時間=90分授業を行っている学校もあります。その場合は「1時間=90分授業で、〇円」と言ってくれます。
各種手当は付きません。
交通費は実費でもらえます。定期券については買う前に事務に確認すべきです。
授業が無いときは基本的に賃金が支払われない
基本的に、授業が無い=賃金が出ないです。ただ、自治体・私立学校によって異なります。
国立・公立の学校では授業が無い=賃金が出ないです。
一部の私立学校では「1単位いくら」で契約するので、夏休み等の長期休暇中も他の月並みの給料が出るそうです。
授業が無いときにも賃金が発生するには
自治体・私立学校によりますが、テスト作成や成績処理関係がどうしても発生するのである程度融通がききました。
- 月の上限時間数を設けている
- 週の上限時間数を設けている
「1授業いくら」で雇われているので、学校行事などで授業が無くなった場合に、最大で無くなった時間分の時間外労働分を計上することができます。
『授業』だけでなく『成績処理』名目でも賃金発生します。
例:週の担当授業は5クラス×3単位の合計15時間だが今週は定期テストがあり、10時間分の授業がなくなった。採点業務に12時間かかったが、そのうち10時間は時間外労働として計上できるので、今週も15時間働いた。
2時間分の賃金支払われてないけど。
えぇ。ブラック労働ですから。
非常講師は労働基準法適用なのでここで泣き寝入りせず『2時間分の労働記録と2時間分の給料未払いの証拠(勤務記録簿と給料明細)』を労基署に持って行くと労基署→学校に指導が入ります。無賃労働は違法なので払ってくれます。
翌年の講師依頼が来なくなる可能性はありますがサビ残ありきの働き方を後世に世襲させるのは良くないので労基署をすすめておきます。
ちなみに、テストの採点は数学ですと40人分で2時間はかかります。
授業がつぶれず15時間授業して採点業務もあった場合は単純にサービス残業です。
講師の時給は2,500円を下りませんが実労働時間で割ると1,800円位になるかもしれません(パチンコ店並みです)。
会計年度任用職員になってから厳しくなった
会計年度任用職員となった2020年度もいつものように成績処理にかかった時間を計上していました。
なんということでしょう!
法定授業時間(高校だと35週)にはテスト時間は含まれていないようで普通に成績処理も行うと契約時間数をオーバーしてしまうことが分かりました!
次年度以降の時間講師の先生にサービス残業を世襲させてはいけないので管理職とキッチリハッキリお話しておきました。
- 契約時間は法定授業時間数ピッタリですか?
- だとしたら授業のみでほぼ法定授業時間数となり、成績処理の時間も含めると契約時間を超します。テストや成績処理は担当しなくていいですか?それともサービス残業ですか?
やってもらわないと困ります。
ここで「サービス残業して」という話しが出るととてもマズイので普通はテスト作成や成績処理は担当させません。
普通は担当させないと思いますが、いかんせんブラック職種なので「サービス残業して」と言われた場合に講師依頼を受けるか断るかは腹をくくる必要があります。又は快く引き受けておいてサービス残業発生時にしれっと労基署に駆け込むかです。
- テスト作成1種につき3~5時間以上
- 成績処理1クラス40人で2時間以上
ちなみに東京都は52週契約となっています。東京都すばらしい!
時間講師や非常勤講師の有給・年休について
時給で働く講師にも有給休暇があります。
何日もらえるか等は自治体・私立学校によりますが、国立・公立学校で勤務する【会計年度任用職員】の時間講師・非常勤講師の年次休暇は「勤務開始後6ヶ月後に付与」が一般的だと思います。
ちなみに有期雇用なので有給は使い切らないと消滅します。
有給が残っていても買い取ってはくれません(私立学校ならば可能かもしれません)。
有給休暇や無給休暇の種類
2020年度から有期雇用の講師は【会計年度任用職員】という身分になりました。
有給休暇や無給休暇が複数利用できます。
- 病気休暇(公務傷病):無給
- 病気休暇(私傷病):有給
- 忌引休暇:有給
- 結婚休暇:有給
- 産前休暇:無給
- 産後休暇:無給
- 妊産婦通院休暇:無給
- 妊娠障害休暇:無給
- 生理休暇:無給
- 介護休暇:無給
- 夏季休暇:有給
- 年次休暇:有給
- など
各休暇についての詳細は自治体ごとに異なっています。
普通の先生が使うのは夏季休暇と年次休暇だと思います。
夏季休暇
6〜9月で使える特別休暇です。
9月末を過ぎると消滅してしまう休暇なので年次休暇よりも先に使うべきです。
何日付与されるかは契約コマ数で異なりますが、1〜5日もらえます。
6〜9月の4ヶ月で最大5日付与です。
教諭でも5日付与なのでなかなか太っ腹です。
年次休暇
何日付与されるかは契約コマ数で異なりますが、1〜20日もらえます。
教諭や常勤講師ならば毎年20日付与です。
会計年度任用職員になってからは年次休暇の日数が勤続年数によって増えるようです。
初年度ならば年次休暇日数は契約コマ数次第ですが、1〜10日もらえます。
夏季休暇+年次休暇=2〜25日の有給があります。
有給の取り方
時給で働く講師は授業に対して賃金が発生するので、【授業日】でないと有給は取れません。つまり授業が自習となります。
自習としたくない場合は【授業のある日だが実際は授業の無い日】に有給を入れると授業が無いので、自習とはなりません。
???
意味が分からないでしょ?
授業のある日だが実際は授業の無い日
毎週火曜日に授業が3つあります。
火曜日が【健康診断日】で授業が無いですが、カレンダー上は火曜日なので授業があるとカウントします。
この日に有給を入れると3時間分の賃金が支払われます。
ただ、こういった【健康診断日】や【遠足の日】等に有給を割り振るのは「授業無い日なのに授業日とカウントしている」のが黒に近いグレーゾーンだと思うので、今後は難しくなっていくと思います。
テスト範囲を早く終わらせて、テスト前に自習日を作って有給取ろう!
授業を自習にした場合の自習監督の割り振り
授業を自習とした場合の自習監督は教務部が他の先生に割り当てるのが普通ですが、「自習にした場合の自習監督の都合は自分でつけてね」な学校もあります。
ゴミシステムな学校です。
1講師がチマチマ交渉することではないので、自分で都合つけるよう言われたら教科主任に相談しましょう。たいてい主任が手配してくれます。
主任がしどろもどろにしていたら「有給(年休)取るんでヨロシクお願いします!」と爽やかに去って行きましょう。
有給休暇は労働者の権利です。
これはダメ
毎週火曜日に授業が3つあります。
火曜日が時間割り変更で月曜日授業となりました。カレンダー上は火曜日ですが、校内の曜日は【月曜日】なので授業が無い日です。この場合は有給が取れません。
これもダメ
長期休暇時に有給取ります!
時給で働く講師は授業に対して賃金が発生するので、【授業日】でないと有給は取れません。
終業式~始業式の間の長期休暇期間は授業が無いので、有給は取れません。
一部の学校では、長期休暇期間にも補習授業や特別講座を行っています。それらを担当するならば、その期間は【授業日】と考えるので有給取得可能です。
ただ、普通は時給で働く講師はそういった特別講座は担当しません。
時間講師・非常勤講師として働くときの心構え
今後のキャリアをどう重ねていくかで、仕事への取り組み姿勢をもつべきです。
教員採用試験合格を目指す
非常勤講師なんて楽な仕事だろうと思ってる人に伝えたいのは、全然楽じゃないって事ですね。今までで一番キツかった年は4校掛け持ち8科目9講座という年がありました。こうなる可能性もあるから先生を目指す学生の皆さんは一発で合格してください。教採の勉強どころじゃなくなります。
— 黒Në講師 (@CLoNeKouC) September 12, 2019
教員採用試験合格に向けて教育委員会のウケがいいようにNoと言いにくい働き方なので、何でもかんでもYesと言っているとエラいことになります。
科目数が多いほど授業準備も大変になります。複数校で勤務する場合は科目を合わせておくとまだ楽です。
減らしたら雇用がないかも。
受け持ち数が少ないと収入も少なくて生活できない・・・。
なんて言われそうですが、正規採用しないでこんなに働かせるなんて搾取以外の何ものでも無いです!
働き過ぎて体や心を壊したら教員採用試験合格どころか人生再起不能になります!
これらを耐えてまで目指す職業では無いと思います。
先に残業代の出る民間企業で働いて小金を貯めてから趣味で時給で働くぐらいが働き方としてちょうどです!
非常勤講師→教諭となった先生は10数年間の教員生活では1人だけいました。38歳位の体育の先生でした。
民間企業からやってきたのか、ずっと講師だったのかは分かりませんが、5年ほど非常勤講師をされていてからの教員採用試験合格でした。
もういい加減、採用試験諦めたらいいのに。
同僚の体育の先生はそう言っていましたが、38歳の体育の先生は諦めませんでした。
時給で働く講師のままでいる
生徒・学校ファースト辞めました。
生徒・学校ファーストはキャリアを重ねていく先生に任せましょう。
私はセミリタイアしたので、先生業は趣味ポジションです。生徒はかわいいですが、そこまでもう面倒はみません。自分の人生をエンジョイします!
ただ、余りに仕事しないでいると、次年度の講師依頼が来なかったりするので注意が必要です。
講師依頼無くてもいいんだけどね・・・。
くらいのポジションでいたいものです。
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