教諭(正規雇用)を辞めて非常勤講師(非正規雇用)にキャリアダウンした皮算用です。
ちょっと早いですが、30代でセミリタイアしました。

勤続11年までの私自身の年収は公開していますが、東京都の学校の先生の給料・昇給率を調べてみました。
給料や昇給率は各都道府県で金額は異なっていますが、やはり日本一の大都市Tokyoを調べるべきだろうと思ったので東京都について調べました。
東京都採用の教員は1~6級まで区分されている
東京都職員給料表が公開されています。
学校の先生に限らず、行政職(都庁職員・区役所職員)や警察・消防職についても給料表が公開されています。ちなみに、これは基本給なので、実際の給料には各種手当が付きます。
学校の先生【教育職】は1~6級まで区分されます。
2級以上が正規雇用です。3級以上の級となるには、経験年数+選考があります。

主任教諭試験の受験資格は、30歳以上60歳未満で教諭経験8年以上の教諭です。
- 1級:講師・実習助手など
- 2級:教諭
- 3級:主任教諭
- 4級:主幹教諭(管理職)
- 5級:副校長(管理職)
- 6級:校長(管理職)
ちなみに同じ1級に分類されていても、常勤講師の昇給に上限があるそうです。
確か2015年頃に「常勤講師の年収に関して、教諭並みに昇給すると言っておいて、裏で上限を設けていた」自治体が7割にのぼるとニュースになっていました。
2015年のニュースは見つけられませんでしたが、2017年の記事はありました。
ちなみに、東京都職員給料表では管理職でない1~3級の最後の給料表はこのように記載されています。
- 1級:169号給326,000円
- 2級:177号給386,300円
- 3級:149号給421,800円
2017年の文部科学省の調査結果から改善され、記載通りの給料となっていることを願います。
記載通りの32万円までいくと、各種手当も加味すると額面37万円程度です。ボーナスが4.5ヶ月と考えると、37万円×16.5ヶ月=約610万円の年収です。

これだけあれば、常勤講師の身分のままでも結婚子育てができます。
次年度常勤講師の依頼があるかどうかが不確定ですが。

東京都教員は住居手当が途中で切られるそうなので生活が苦しくなりそうです((((;゚Д゚))))
住居手当はいくらですか?
ありません。
と不動産屋に伝えると、驚かれる教員36歳。
35歳までは15,000円あった。
36歳以降は手当なし。
東京都。
— yusukegarashi (@GarashiYi) March 15, 2020


東京都採用の教員の給料は何号給スタートでいくらなの?
東京都職員給料表では全ての級で1号給から記載があります。
ただ、初任給は少々異なっていました。東京都初任給一覧によると、このようになっています。【2019年】
2018年と比べて、全ての級で初任給が1,000円上がっています。1~3級の最後の給料表は増額がありませんでした。

若者の給料を上げるのは良いことです。
- 1級大卒 :21号給187,000円
- 1級短大卒:13号給169,000円
- 1級高卒 : 1号給149,000円
- 2級大卒 : 9号給197,300円
- 2級他 : 1号給180,400円
教員免許は3種類あります。
- 1種免許状:大卒
- 2種免許状:短大卒
- 専修免許状:大学院卒
そのため、保有免許の種類別に初任給が異なっています。
教員の定期昇給は勤務期間で決まる
東京都では「特に何もなければ毎年4号給」ずつ昇給するそうです。

他の自治体でも4号給ずつが基本です。
飛び抜けて評価が高ければ6号給や5号給上がりますが、高校教員だと「本校初の現役東大入学!」位のレベルなので、まず無理です。
東京都初任給一覧によると、同じ大卒の1種教員免許状保有での教諭と講師のスタートは異なります。
- 1級大卒:21号給187,000円
- 2級大卒: 9号給197,300円
東京都職員給料表では1級と2級の最後の給料表はこのように記載されていました。
- 1級:169号給326,000円
- 2級:177号給386,300円
つまり1級では(169-21)÷4=37年、2級では(177-9)÷4=42年かけて毎年昇給していくことになっています。

新卒で働き始めても23歳スタート。プラス42年まであるってことは、定年65歳に向けての給料表?
給料表には「再任用除く」とあります。
第5 在職期間に応じた号給数の調整昇給日の属する年度の前年度における都職員として在職した期間(以下「在職期間」という。)が12月に満たない場合は、第4の1から3までの規定により決定された昇給の号給数から、下表に定める在職期間に応じて同表に定める号給数を減じて得られる号給数に決定する。ただし、減じて得られる号給数が0を下回る場合は、昇給を行わない。
在職期間 号給数 9月以上12月未満 1号給 6月以上9月未満 2号給 3月以上6月未満 3号給 3月未満 4号給
2019年度の昇給については「2018年度中の契約期間による」ということです。
「特に何もなければ毎年4号給」ずつ昇給するので、2018年度の契約期間が3ヶ月未満だった場合は2019年度は昇給しません。
産休育休代替教員の場合は契約期間が短い可能性があるので、昇給に関しては注意が必要です。
雇用契約書(辞令)的に雇用期間を細切れにされている講師の先生もいました。
4/1~6/29(育休代替)+7/1~3/30(常勤講師)

生涯賃金としてみると400万円ほどマイナスになるそうです。
講師の先生はその事実にショックを受けていました。
12ヶ月の契約期間ならば4号給昇給するので、半年程度の産休育休代替教員よりも1年契約の常勤講師となる方が生涯賃金的にも有利です。
毎年4号給ずつ昇給していくとこうなる
東京都職員給料表をもとにグラフ化しました。やはり正規雇用の教諭の昇給額は1級教員(教諭以外)よりも大きいです。
前述しましたが、1級2級の給料表はこのように記載されています。
- 1級初任給:21号給187,000円
- 2級初任給: 9号給197,300円
- 1級最後:169号給326,000円
- 2級最後:177号給386,300円
1級の講師の給料は37年目で打ち止めです。
繰り返しますが、新卒23歳で働き始めても37年後には60歳です。2019年現在、教員の定年は60歳なので、2級の給料表が42年目まであることがおかしいんです。
2級も37年目の157号給380,300円で止めておけば勤続37年目で60歳定年なんです。
65歳定年になったら、それに適した給料表を作成すればいいだけなんです。

教員採用試験に合格すると号給が引き継がれる
ちなみに教員採用試験に合格すると、級が変わり(1級→2級)、号給は引き継がれます。
他の自治体でも教諭は2級です。やはり号給は引き継がれます。
私は30代でセミリタイアし教諭を辞めましたが、再度1級や2級で雇用されれば、号給が引き継がれます。
主任教諭試験の受験資格は、30歳以上60歳未満で教諭経験8年以上の教諭です。つまり、最短で8年目から3級の給料表になります。
※教員の号給が上がるタイミングは毎年1月なので、3級合格者は次年度でなく同じ年度内に昇給するはずです。

3月までに昇給すると、退職金は昇給した金額ベースに考えます。
4月昇給よりも得するようになっているので、3級合格者についても同じだと思います。
最短の8年目から3級となり、3級昇進後も号給が引き継がれるならば、基本給がどう変わるかグラフ化しました。
3級昇級しても号給が引き継がれない!?
「3級昇進しても号給が引き継がれず給料があまり変わらなかった」とのコメントをいただきました。
最短の8年目から3級となり、3級昇進後の給料が2級とそう変わらない号給バージョンで基本給がどう変わるかグラフ化しました。
号給が引き継がれるにせよそうでないにせよ、非正規雇用の臨時的任用の常勤講師の先生にはキツイ現実です。

むしろ何故現状を受け入れて、前年と変わらない働き方をし続けるのか理解に苦しみます。
- 4/1~3/30の1年契約(364日契約)
- 内示が出るのは3月末それ以前は白紙撤回可能な口約束のみ
- 仕事量は正規教員と遜色ない
- 休職制度などは利用できない
教職の面白さ・楽しさ・やりがいはもちろんあります。
ただ、こんな労働条件の差を受け入れてまで選ぶ仕事かというと、個人的には賛成できません。

勤続15年=38歳講師の先生が夢破れて学校を去って行く場面を何度か見ました。
38歳から何をして収入を得ていくんだろうと心配します。
東京都採用の時間講師の時給や福利厚生
2019年時点での時給は1,880円~2,860円です。
教職経験やその他の職歴年数により決定するそうです。
授業時間なので1時間=50分間です。短縮授業の日は1時間=45分間や40分間のこともあります。
担当する授業数の上限は週26時間までとなっています。
週20時間以上の勤務でも、おそらく社会保険(健康保険・厚生年金)への加入はできないと思われます。
東京都時間講師の募集に社会保険加入が明記されていないからです。

YesもNo書いていない時はだいたいNoです。
都合の悪いことは書きません。
2018年から社会保険への加入が変更されました。以下の1.~4.プラス1つを全て満たせば社会保険への加入ができます。
- 所定労働時間「週20時間以上」
- 月額賃金8.8万円以上
- 勤務期間1年以上見込み
- 学生は除外
プラス
- 従業員501人以上
- 従業員500人以下の民間企業は労使合意に基づき適用拡大を可能に
- 国・地方公共団体は適用
一見1.~4.の条件を満たせていそうですが、非正規教員の雇用のカラクリがあります。
「3.勤務期間1年以上見込み」がアウトです。
常勤講師の雇用は364日
私は複数の自治体での勤務経験があります。
たいてい、常勤講師の雇用は4/1~3/30です。3/31は1日空白です。
「連続5年以上の雇用で無期雇用」のルールにのせないためです。
時間講師はせいぜい3/20まで
授業時間のみに賃金が発生する時間講師は長くても、3学期終業式までの契約となります。
時間講師をわざわざ4/1~3/31で契約する理由がないんです。
そのため、「3.勤務期間1年以上見込み」を満たしていません。
社会保険への加入はできませんが、有給はもらえるはずです。

これも東京都時間講師の募集に記載していないのはどうかと思いますが。
教育現場とはこんなものです。

先生したいの?
じゃあ働いてもらおうかな。
私個人的には、教員という職業は若者にはとても勧められない職業だと思っています。

教師への残業代未払いは年9000億円。
公立の教師は約90万人。
一人あたりの残業代未払いは一年で約100万円です。
教師を約40年間勤めるとすると残業代未払い総額は4000万円になります。
もらえるはずの4000万円が貰えない。こんな職業あるか?
— サボさん (@kyouiku_mondai) November 12, 2019
いつか早期退職できるようお金の勉強をはじめる

私自身は小金を貯めて30代で教諭職を辞めセミリタイアしました。今は時給2,500円超で非常勤講師をしています。
教諭用の財形貯蓄メインで小金を貯めましたが、合わせて金融知識をつけて資産運用も行いました。多分、財形貯蓄オンリーでいくよりも投資・資産運用の比率を上げていた方が金融資産はもっと多かったと思います。

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コメント
三級に昇進しましたが、号級はひきつがれませんでした。前年に近いところからリスタートでしたので号級は一気に下がりました。
コメントありがとうございます!
三級昇進おめでとうございます。号級が引き継がれず下がったとのことですね。二級時の基本給同等程度に号級が下がるんでしょうか?だとしたらグラフのグラフの訂正をしたいところです。
記事には『三級に昇進しても号級が引き継がれず下がるようです』と追記させてもらいます。
情報ありがとうございました。