高校教諭を辞めて30代でセミリタイアし、時間講師をしている皮算用です。
教諭と時間講師(非正規雇用)の経験はありますが、フルタイム勤務の常勤講師(非正規雇用)の経験はありません。
過去に「来年度は常勤扱いで!」と管理職に言われ、仕事量が常勤扱いで身分・待遇は時間講師のままだったことがあります。
(給料も変わってないよ。仕事増えただけ。)
教員待遇は2018年頃から「ブラック労働だ」と周知されつつありますが、現実にブラックです。
今現在20代で、教員採用試験に受かっていないならば、ブラック労働な教職なんて辞めてホワイト企業への転職向けて動くべきだと思います。
学校は臨時講師を守ってはくれません。一年で使い捨てられることもよくあります。毎年異動し引越しするのも当たり前です。なのに同一労働を求められても、同一賃金ではありません。#教師のバトン
— 崖っぷち先生 (@rinjikoshi) May 16, 2021
ですが、このタイミングで退職してほしいと教育委員会から言われました。理由は海外研修に行く予定だった本校の教諭が、コロナの関係でいけなくなったので本校に復職するためだということです。確かに私はその方の代替講師として今年は働いています。ですが、辞令も出てるのにこんな解雇がありますか?
— とある中学の常勤講師(4年目) (@UAAv9CnfJVlHk2u) May 19, 2020
しかも療休の日数次第では採用試験までに影響するんだってね。はぁ…もう………
— とどまる (@todomarusan2020) July 1, 2020
常勤講師の仕事・働き方
教諭(正規雇用)とほぼ同じ仕事をします。仕事量もほぼ同じです。
保険関係もしっかり加入できます。
- 健康保険
- 厚生年金
- 社会保険(常勤講師だけが加入)
常勤講師は1年間(364日間)の有期雇用なため、社会保険に加入します。雇用期間終了後に新しい契約がなく、無職となった場合は失業保険を受けられます。
授業のみを担当する時間講師・非常勤講師は同じく1年契約(342日間程度)ですが、この3つには加入できません。
勤務時間
8:30~17:00の勤務時間で、お昼休憩が45分間あります。7時間45分間の労働時間です。
1番長くて6:30~22:00位で働いている先生もいます。ボリュームゾーンは8:00~19:00辺りです。
公務分掌
公務分掌はどこかに所属します。
職員数が少ないと2つ3つかけもちます。もちろん複数かけもつと仕事量が増えます。
- 学年(担任)
- 生徒指導部
- 特別活動部←生徒会関係
- 進路指導部
- 教務部←学校運営全般
- 図書・人権←人権講話とか
- 保健室関係
ちなみに下にいくほど仕事量がやや軽いです。
普通は常勤講師に主任はさせませんが、常勤講師で特別活動部主任を任された先生も過去にいました。
担任業務
小中学校では担任業務も任せられます。学校によっては副担任でおさまる可能性もありますが、人手不足なのでほぼ100%担任となります。
高校では2018年現在は担任業務は任せていませんが、今後は担任を任せていく方向になると思います。
人手不足のくせに新規採用数は増やさないの。
人件費削減だって!
問題のある生徒や、ややこしい保護者がいる生徒(言葉が悪くてスミマセン)については普通は能力のある教諭、または学年主任などが担任となります。
まれにこういった生徒をわざと常勤講師に担当させます。
教諭がツブれるよりも講師がツブれた方が自治体は損をしないからです。
めっちゃブラックやん!
部活顧問
中高では部活顧問となる可能性が高いです。
みんなやりたがらないからね。
若手にシワ寄せがきます。
主顧問となる可能性もあります。
たいていの自治体では全員顧問制度を取り入れているので、1つの部活を2人以上で担当します。たった1人で顧問をすることはまず無いと思いますが、小規模校(4クラス×3学年程度)ならば教員数も少ないため、1人で部活をもつ可能性もあります。
1人顧問となると、これらを1人で行います。前任者が学校に残っていれば、昨年の話を聞けますが、転勤してしまっている可能性もあります。
- 技術指導・生徒対応
- 練習スケジュールの決定
- 保護者対応
- 部活動予算の管理
練習スケジュールは顧問が調整しますが、休みが多いと管理職や保護者、他部活の顧問から「休み過ぎじゃない?もっと活動させては?」なんて言われるので、部活顧問は全力で回避すべきです。
経験スポーツは履歴書に書いちゃダメ!
教科について
教諭と同じ働き方をするので、テスト作成もありますし、放課後の補習も担当する可能性があります。
特に高校では成績で1(評定1・赤点)をつけると追認補習・追認試験も担当します。追試は受からせることが前提ですが、生徒本人の努力が足りないと合格しません。
追試に受からせることができないと、次年度の教員採用試験や講師依頼が絶望的なので成績で1を付けないのが最も先生個人に有益です。
追試に受からないレベルの学力ならば、生徒に追試欠席してもらう方が先生の評価は下がりません。
寝坊することを祈ろう!
そうじ監督
毎日そうじ監督を行います。
担任でない若手女性教員のそうじ場所はトイレであることが多いです。冬場は寒いので年配者が嫌がるのでしょう。
男子トイレと女子トイレ両方の監督をします。男子トイレに男性教員、女子トイレに女性教員とすべきですが、人手不足なのでたいてい1人で両方監督します。
学校のレベルによっては生徒→先生へのセクハラもあるので、管理職に相談しましょう。
やらないこと
たとえ新卒であっても研修はほとんどありません。
教員採用試験に合格すると初任者研修が1年間(全10回程度)ありますが、講師にはありません。
ほぼ同じ仕事をしていますが、【学校の先生の心構えとは!】的なものを学ぶ機会を与えられず、学校業務に追われます。
まぁ、初任者研修自体に意味はあまりありませんが。
学校の先生の給料・ボーナス・手当について
フルタイム勤務の教諭や常勤講師は月給制で残業代は付かないので、当月前払いです。
例:4月分の給料は4月20日に支給
残業代は全員に基本給の4%が既に上乗せされています。【給特法】
ボーナスの掛け率は教諭と同じになります。
遅刻欠勤が多いと評価が下がるので、その場合は掛け率が下がります。
ボーナスは年間4.5ヶ月くらいです。自治体によって異なります。
年収=(基本給+手当3~6万円)×16.5ヶ月程度
過去に東京都教員の給料について調べました。他都道府県も大差ないと思います。
- 1級:講師・実習助手
- 2級:教諭
- 3級:主任教諭(2級から派生)
年収はたいてい上限がある
前職を考慮して決定します。
教育委員会からはキレイに言われますが、年収450万円程度で頭打ちとなることがほとんどです。
過去の年収が1,000万円だった場合、1,000万円になりますか?
しっかりハッキリたずねてみました。
450万円くらいが上限です。
だって!
最初からハッキリ言えよ!!
教諭だと40代50代で800万円~となりますが、常勤講師だと30歳位で頭打ちです。
新卒ならば月給20万円程度です。20万円×16.5ヶ月=330万円です。
450万円で頭打ちなので、450万円÷16.5ヶ月=約27万円です。
正直、教諭だと定期昇給で毎年約1万円ずつ上がっていくので、月給27万円というのは7年目の月給です。
昇給の上限については、都道府県別では17年現在で北海道、千葉県、石川県、大阪府、岡山県、沖縄県で撤廃されている(文部科学省の調査による)。
めっちゃブラックやん!
各種手当
教諭と同じ基準で出ます。自治体によって金額が多少異なります。
- 教育特別手当
- 特殊勤務手当(休日の部活動手当)
- 住居手当
- 通勤手当(実費)
教育特別手当は何だかよく分かりませんが、毎月5,000円程度もらえます。
特殊勤務手当は4時間以上働くともらえます。
- 4時間以上勤務で3,000円
- 6時間以上で4,000円
時給金額ではありません。1日3,000~4,000円です。
住居手当は普通は賃貸住宅のみで支給されます。「家賃の半分を支給。ただし上限27,000円」となっています。
地方公務員に限らず、国家公務員もこの金額でした。合わせてあるのかしら?
都会だと家賃5.4万円の物件って、ちょっとしんどい(*_*)
もちろん「家賃10万円の賃貸住宅に住んで手当27,000円もらい、自己負担は73,000円」とするのは自由です。
常勤講師の有給・年休について
常勤講師も有給があります。
何日もらえるか等は自治体・私立学校によりますが、国立・公立学校で勤務する【会計年度任用職員】の常勤講師の年次休暇は「4月に10日付与、6ヶ月後にも追加で10日付与」だと思います。
ちなみに、有期雇用なので有給は使い切らないと消滅します。
有給が残っていても買い取ってはくれません(私立学校ならば可能かもしれません)。
有給や無給の種類
2020年度から有期雇用の講師は【会計年度任用職員】という身分になりました。
有給や無給が複数利用できます。
- 病気休暇(公務傷病):無給
- 病気休暇(私傷病):有給
- 忌引休暇:有給
- 結婚休暇:有給
- 産前休暇:無給
- 産後休暇:無給
- 妊産婦通院休暇:無給
- 妊娠障害休暇:無給
- 生理休暇:無給
- 介護休暇:無給
- 夏季休暇:有給
- 年次休暇:有給
- など
各休暇についての詳細は自治体ごとに異なっています。
普通の先生が使うのは夏季休暇と年次休暇だと思います。
夏季休暇
6〜9月で使える特別休暇です。
9月末を過ぎると消滅してしまう休暇なので年次休暇よりも先に使うべきです。
教諭と同じ日数、5日もらえる自治体がほとんどだと思います。
6〜9月の4ヶ月で5日付与です。
年次休暇
教諭と同じ日数、20日もらえる自治体がほとんどだと思います。
教諭は年次休暇を最大で20日翌年に繰越せますが、有期契約の常勤講師は契約期間が過ぎると有給も消滅します。
夏季休暇+年次休暇=25日の有給があります。
私立学校は有給休暇の説明があるかは各学校で異なります。
労働者の権利ですから、有給があるにはあるはずです・・・。
有給休暇は教諭と同じく、1時間単位で取れます。
普段の授業日に休むことは授業の関係でなかなか難しいので、夏休み中や、冬休み・春休み期間に取ることが多いです。
常勤講師は1年間の有期雇用なので、有休の次年度への繰り越しができません。契約期間満了までに使い切ることが望ましいです。
たいていの常勤講師は有休消化率100%です。教諭はもっと低い%だけどね!
公務員の休暇・休職制度
公務員には様々な休暇・休職(休業と呼ぶらしい)制度があります。休暇は給料が70%~100%出ます。休職は普通は給料が出ませんが、育児休業については民間企業同様、減額された給料分が出ます。
- 病気休暇
- 介護休暇
- 子の看護休暇
- 忌引き休暇
- 生理休暇
- 育児休業
- 大学院進学のための休業
常勤講師には、これらの休職制度はほぼ適用されません。
休暇に関しては普通に取得できますが、あまり取り過ぎると次年度の教員採用試験や講師契約に影響がでる可能性が高いです。
「アイツはよく休む」なんて評価欲しくないですよね?
休職制度も、力ずくでもぎ取ることは可能だと思いますが、有期雇用のため年度末で休職期間も終わります。
そして次年度の教員採用試験や講師契約は絶望的だと思います。
他県受けよう!
常勤講師の退職金について
時給で働く講師では退職金は出ませんが、フルタイム勤務の常勤講師ならば退職金が出ます。
1年勤務すると、20~40万円程度もらえます。
22歳~60歳まで常勤講師を続けると、40万円×38年=1,520万円となります。同じ期間を教諭として過ごすと退職金は2,500万円にはなるので、やはり常勤講師は損です。
仕事量はそんなに変わらないけどね。
常勤講師の契約期間について
普通は4/1~3/30での契約期間となります。
3/31を1日空けることで「連続5年間の有期雇用で無期雇用への転換」が回避できるからです。
空白の1日
府教委に何度も辞令出してと言ったのに、出ないから休まなければならなかった。次のボーナス8割と退職金リセットです。
更に、子どもたちからは、ズル休み呼ばわれです。— Teacher_arubaito (@psn_2ndid) October 20, 2019
常勤講師の働き方心構え
教員採用試験に合格するまで常勤講師をする!
という方がほとんどだと思います。
そのため、管理職の覚えが良いようにと、仕事に対してNoと言えない常勤講師が多いと感じています。
部活の主顧問をしていて、時間外労働が毎月100時間超えていた常勤講師の先生もいました。もちろん教員採用試験に向けての勉強時間も取れず、5年間受け続けていました。
勤務校が変わってしまったので、28歳以降でどうしているのかは知りません。
常勤講師からの教員採用試験合格を目指す
学校(管理職)ファーストで考え行動しましょう。
教員採用試験の面接で、たまたま面接官に勤務校の校長が居たことがあります。
常勤講師のままでいる
常勤講師のままでいることは勧めません。
年収450万円程度で頭打ちですし、月27万円の月給は30歳教諭なみです。つまり、30歳を超えた常勤講師の雇用は想定していないんです!
かつては教員採用試験に受験年齢の上限がありました。受験年齢を過ぎた場合は先生になれませんでした。そのため、収入を得るために、先生を諦め就職していきました。
21世紀では教員採用試験の年齢制限がなくなりつつあります。
喜ばしい半面、どこで先生を諦めたらいいのか決めることが難しくなっています。
正直、生殺しだと思ってます。
長らく常勤講師を続けて合格する先生もいますが、35歳を過ぎて講師契約を切られた先生もいます。
毎年毎年教員希望の若者がどんどんあらわれるので、わざわざ扱いにくい30代40代50代を雇用する理由がないからです。
「35歳・教員職のみ経験」からの転職はなかなか難しいと思います。
そのため、転職市場で価値があると思ってもらえる年齢での転職を勧めます。
それだけ35歳過ぎて常勤講師を切られた先生のその後は見ていて辛かったの!(T_T)
38歳時点で無職(主夫)だった。
すごいやつれていた・・・。
主夫に偏見はないですよ。ただ、あのやつれ方が・・・。
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